Vol.3 お墓の継承問題と大切な機能
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お墓を家族で守っていくという在り方は、昭和から平成までの人口の増加傾向にあった時代には問題ではありませんでした。
しかし、少子高齢化が著しく進んでいる昨今、家督を継ぐということ、墓地を守るということが徐々に難しくなってきています。
今や家の後継者がいないという実態については、一部の人たちの問題ではなく社会全体が考えなければならない問題だと思っています。
そんな時代背景の中、永代供養墓というものが生まれました。
個のお墓から、みんなのお墓への変革です。
そこでも大切にしなければいけないことはあると感じています。
一つは「持続可能性」です。霊園の破綻などもニュースで見たことがあると思いますが、運営母体が持続可能であるのか?
そして、そのお墓の在り方も持続可能であるのか?
ということです。
霊園が破綻し、利用者が路頭に迷うという話も耳にします。また、都心では、自走式の納骨堂などを目にすることがあると思います。
利便性もよく一見良さそうに見えるものですが、問題はそのシステムの維持費にあります。
50年後、100年後も人口減少が進む先に維持が可能なのでしょうか?
そのお墓の在り方が、今さえ良ければよいという短絡的なものに見えてなりません。
何百年と続いてきているお寺自体も、その3割程度はこの先20年で廃寺せざるを得ないといわれております。
その永代供養墓自体の持続可能性を見極めることがとても大切なことと感じています。
もう一つはコミュニティーです。
お墓は、今まで家族というコミュニティーで守ってまいりました。その中には、想いであるとかその人の人生を感じることができるつながりがあります。
ただ単に遺骨を保存するのがお墓ではないと思っています。
自分が亡くなった後も自分のことを想ってくれる人がいる。その守ってくれる人たちと温かいつながりがある。
そんなことを望むのは私だけではないと思います。
自分の生きてきた人生を、その想いを、引き継ぎ守ってくれる「つながり」こそ最も大事なものです。
形だけ、遺骨だけを守ることはお墓の本当の意味を失っているように思います。
妙海寺「海の弔い」では、その人と人との「つながり」を大切にしていきたいのです。
生きている人同士のつながり、亡くなった方と残された家族のつながり、無縁社会といわれるこの現代で、今一度大切なコミュニティーを作っていきたいそんなことを考えています。
次回、妙海寺が考える「支え合うことのできるコミュニティー」のお話を書きます。