Vol.2お寺が提案する散骨のかたち
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樹木葬、海洋葬と自然葬のスタイルが定着しつつあります。
自然葬とは、遺骨を海や山など自然の循環の中に戻すという葬送方法の総称です。
亡くなった後、大自然に戻り、大きな命の一部となっていくそんなことから選択される方も多いかと思います。
また一方では、「子供や孫に迷惑をかけたくない」という思いから、「私の遺骨は海に撒いてくれればいいから」といわれる方も少なくありません。
こんな相談がありました。
お母様の遺言により「墓はいらない」「仏壇はいらない」「骨はすべて海へ散骨して」という希望通りにしたところ、残された子供たちは「どこでどのように供養してよいのか分からない」というものです。家族間で想いがすれ違ってしまっているのです。
その時に、お母様の想いと、残された方達の想いをどうにか繋げていかなければならないと思いました。
お母様の方も過度な負担さえなければ、きちんと弔ってもらいたいという希望が心の奥底にあったように思います。ですが経済的な不安ばかりが先に立ち、それがままならないのが現状です。
また、もう一つの問題としては、海洋散骨が行き場のないご遺骨の廃棄場所となりつつあるということです。
昨今の散骨については、到底賛同できないような散骨方法をとっている関係者も中には多く見受けられ、本来弔われる供養の姿から遠いものとなっているのです。その原因は家庭の経済状況の問題や家族のつながりの希薄化などが挙げられると思います。更には新型コロナウイルス感染が広がり供養自体が喪失されていく、そんな流れも弔いの形を大きく変えていく後押しとなっています。
そうした中で「妙海寺 海の弔い」という名前は、お一人お一人が「尊厳をもって弔われてほしい」そんな願いも込められています。
このような背景の中、妙海寺では、原則として散骨をする際にも、分骨を永代供養塔「光輪塔」に収めていただくことをお勧めしております。
そして、海に散骨された故人とのつながりをお寺でお守りする、そんな散骨の形をご提案したいのです。
分骨できるという安心感は、「大きな海に抱かれて眠りたい」「母なる海に帰りたい」という当事者の想いを尊重できる1つのプラス材料になるのではと考えています。私は、成仏の一つの形は「納得する」ということだと思っています。誰もが納得できる海洋散骨の形が今こそ必要であると感じています。